見せつけた"Fino Alla Fine”の精神
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運命という物はあまりにも残酷だ。
3点のビハインドを背負いながら挑んだUEFAチャンピオンズリーグ準々決勝2ndleg レアル・マドリー戦。前半のマリオ・マンジュキッチの2ゴールや、後半のブレーズ・マテュイディのゴールで一度は同点に追い付き2連覇中の王者をあと一歩のところまで苦しめた。
しかし、勝利の女神が微笑んだのはレアルの方だった。
後半終了間際のアディショナルタイム、疑惑の判定によりマドリーにPKが与えられる。さらに、これに抗議した守護神ジャンルイジ・ブッフォンはレッドカードを提示され退場。
交代で入ったヴォイチェフ・シュチェスニーの鬼気迫るセーブも虚しく、クリスティアーノ・ロナウドの放ったシュートは無情にもゴール右隅に突き刺さりトータルスコアは4–3。ユベントスはベスト8でこの舞台から姿を消すこととなった。
敗北というのはどんなときでも悔しいものである。しかし、この日の悔しさはいつも以上に重かった。恐らくブッフォンにとってキャリア最後となるであろうCL。彼は試合終了を告げる笛をピッチの上で聞くことすら許されなかったのだ。そんな彼のことを思うと涙が止まらなかった。
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しかし、悲しむことよりも他にやることがある。それは選手たちへの称賛だ。絶望的な状況に追い込まれても尚、わずかな可能性を信じて最後まで走りきり、クラブのモットーである“Fino alla fine”(最後まで)を体現してくれた選手たちへの。
ブッフォンの抗議に関して「みっともない」や「リスペクトに欠ける」などの声が挙がっているのをいくらか見かけた。「自身のビッグイアーを勝ち取りたいという欲がそうさせたのだ」と。
しかし筆者の意見としては、最後まで逆境をはねのけようと必死に戦うチームメートを「なんとしてでも勝たせてやりたい。一緒に勝ちたい」という想いがそこにはあったのではないかと思っている。
もちろんあの抗議の真意は本人にしかわからない。けれど、我々ユベンティーニがずっと見てきた“ジジ・ブッフォン”という男はそういう男だったはずだ。
たしかに今季のCLは終わってしまった。来季はブッフォンのいないチームで戦っていくことになるかもしれない。しかし、彼のメンタリティは確実にチームに受け継がれている。それはシュチェスニーが交代で出場したときのシーンを見ても明らかだろう。
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ユーベにはまだ2冠の可能性が残されている。リーグ7連覇、コッパ・イタリア4連覇。下を向いている暇はないのだ。気持ちをまた切り替えて前に進んでいくしかない。勝ち取れるものは全て勝ち取る、それが“ユベントス”というクラブだ。
シーズンはまだ終わっていない。気を引き締めて“Fino alla fine”、最後まで戦い抜こう。
これが偉大なるカピターノと共に戦う最後のシーズンになるかもしれないのだから。